卒業式で袴に合わせる着物の衿合わせに迷うことはありませんか?
着物の基本的な衿合わせのルールを知っておけば、迷わず美しく着こなせます。
右前か左前かの違いを理解し、正しい着方を身につけましょう。
卒業式を迎える前に、ぜひ一読して自信を持って着物を着こなしてください。
正しい衿合わせで、素晴らしい卒業式を迎えましょう。
*****
【あわせて読む】
【卒業式袴コーデに必要なもの一覧|便利なレンタルセット紹介!】
着物の衿合わせの基本
一般的には、全ての着物は下の写真のように「右前に合わせる」のが正解です。
このルールには歴史的な背景がありますが、覚え方は簡単です。
「右前」は「右手が前」という意味で、右手が先に来ると覚えると良いでしょう。
これを覚えておけば、卒業式だけでなく、特別な日や行事の際にも自信を持って美しい着物姿を披露できます。
ここでは、間違いやすい「右前」と「左前」の意味についてご説明します。
「右前」と「左前」の意味
着物の着方には「右前」と「左前」の2つがあります。
この違いを知っておくことで、卒業式当日、正しく美しく着物を着こなすことができます。
「右前」とは、相手から見て右側の衿が左側の衿の上に重なる着方を指します。
以下の写真の女性も、右側の衿が上に重なっていますね。
具体的には、自分が着物を着るとき、右手側の衿が内側に来て、左手側の衿が外側に重なるようにします。
この「右前」の着方が、現代の日本で一般的に正しいとされる着方です。
一方、「左前」とは、相手から見て左側の衿が右側の衿の上に重なる着方を指します。
自分で着る際には、左手側の衿が内側に来て、右手側の衿が外側に重なるようにします。
このように、「右前」と「左前」には明確な区別があり、卒業式で正しく着物を着るためにはこの区別を理解しておくことが大切です。
なぜ「右前」が正しいのか
「右前」で着ることは、ただのルールではなく、長い歴史と文化に根ざした習慣なのです。
奈良時代の「衣服令(えぶくりょう)」では、庶民は右前に着ることが定められていました。
この規則が制定されて以来、右前で着る習慣が定着し、現代にまで受け継がれています。
また、右前の着方は実用的な面もあります。
右手が使いやすく、動きやすいので、生活の中で便利なのです。
特に、日常の動作や作業をする際には、右前の方がスムーズに行えます。
「衣服令(えぶくりょう)」の背景には中国の思想の影響があり、左が右よりも上位とされたため、位の高い人だけが左前を許され、庶民は右前に着ていました。
聖徳太子がこの習慣を日本に広めたとする説もあります。
当時の高貴な人々は労働をする必要がなく、左前でも支障がなかったと考えられます。
一方、庶民は労働の必要があり、右前の方が動きやすかったため、右前が推奨されました。
左前はなぜいけないのか
着物の着方には、「右前」と「左前」がありますが、特に「左前」が問題視される理由には深い文化的背景があります。
左前の文化的背景
古事記や日本書紀などの古代の文献には、亡くなった人への着替えについて記述があります。
そこで書かれている「左矂(ささき)」という言葉は、亡くなった人に衣服を「左前に着せる」ことを指しているのです。
以上の記述から、左前が死者のための特別な着方であったことがわかります。
死装束としての左前
「左前は死人の装束だから縁起が悪い」という解釈もありますが、これは誤解です。
これにはいくつかの説があります。
死後は神や仏に近づくという思想
もともとは、死者が生者と区別されるためではなく、死後は誰もが位が上がり神や仏に近づくという思想から、貴人と同じ左前に着せる風習が生まれたのです。
従って、死者が左前に着るから縁起が悪いので左前に着ないというわけではありません。
死者と生者の世界の区別
また、死者の世界が生者の世界とは逆さまであるという考え方があります。
この考え方に基づき、死者の着物の衿を逆にすることで、死者と生者の区別を明確にしました。生者と異なる着方をすることで、死者の魂が迷わずにあの世へと旅立つことを願ったのです。
魔除けの効果
次に、左前にすることで魔除けの効果があるとする説もあります。
逆さまにすることで邪気を払うという古来の風習が、死者の装束にも適用されたと考えられます。
このように、左前の着方は死者のための特別な意味を持っているのです。
正しい衿合わせの覚え方
卒業式に向けて、着物の正しい衿合わせを覚えることは重要です。
ここでは、「右前」を忘れないための簡単なコツと実践的な方法をご紹介します。
「右前」を忘れないためのコツ
卒業式という晴れ舞台で、うっかり「左前」なんてことにならないよう、ここでは「右前」を簡単に覚えるコツをご紹介します。
洋服の逆に合わせる
普段着るボタン付きのお洋服を思い浮かべてください。
洋服は左前でボタンを留めることが多いですが、着物はその逆で「右前」です。
洋服と逆に衿を合わせることで、自然と「右前」が身につきます。
相手から見て「y」の形にする
また、もっと分かり易い覚え方として、着物の衿合わせをすると、相手から見た時にアルファベットの「y」の形になるという覚え方もあります。
実際の写真で見ると、衿元が小文字の「y」の形になっていますよね。
この「y」の形を頭に浮かべると、右前の着方がしっかりとイメージできます。
右手が懐に入りやすいように
日本では右利きの人が多いため、右手が懐に入りやすいように右前が定着しました。
右手を使って懐に物を入れやすいようにするためと覚えると便利です。
実践的な覚え方の例
実際に着物を着る際の具体的なポイントを以下に示します。
右側の前身頃を体に巻き付ける
まず、右側の前身頃(まえみごろ)を自分の体にしっかりと巻き付けます。
これが内側になります。
左側の前身頃を重ねる
次に、左側の前身頃を右側の上に重ねます。
この時、右側の衿が下になるようにしっかりと重ねます。
衿元をきれいに整える
最後に、衿元を整えてシワを伸ばし、きれいに仕上げます。
衿元が整っていると、全体の印象が美しくなります。
*****
【あわせて読む】
【卒業式袴の着付け方!初心者向け女袴の簡単着付け】
よくある間違いとその修正方法
衿合わせが逆になっている
初心者がよく犯す間違いは、衿合わせが逆になることです。
この場合、左右の衿を入れ替え、右側の衿が下になるように合わせ直します。
衿元が汚い
もう一つのよくある問題は、衿元が乱れていることです。
これを防ぐためには、衿山をしっかり整え、シワを丁寧に伸ばすことが重要です。
清潔で整った衿元は、全体の印象を引き締めます。
着物の衿合わせの実践ガイド
着物の美しさは、正しい着付けによって引き立ちます。
ここでは、基本的な着付けの流れと、特に注意すべきポイントについて詳しく説明します。
基本的な着付けの流れ
肌襦袢、長襦袢、着物を重ねて着る
最初に、肌襦袢を着用します。
これは、汗を吸収し、着物を清潔に保つための下着です。
その上に長襦袢を着ます。
長襦袢は、着物の内側に着るもので、着物の形を整える役割を果たします。
最後に、着物を着ます。
腰紐で仮止めする
着物を着たら、腰紐を使って仮止めを行います。
腰紐を結ぶことで、着物がずれにくくなり、後の作業がしやすくなります。
腰紐はしっかりと締めすぎず、しかし緩くもない適度な強さで結びます。
帯締め、帯揚げを飾り、帯を結ぶ
次に、帯を結びます。帯締めと帯揚げを使って、帯をしっかりと固定し、美しく整えます。帯の結び方にはいくつかの種類がありますが、初心者には基本的な結び方から始めるのが良いでしょう。
衿合わせを整える
最後に、衿合わせを整えます。
右前に重ね、衿元が綺麗に揃うようにします。
この段階でシワがないか、全体のバランスが良いかを確認します。
*****
【あわせて読む】
【卒業式袴の着付け方!初心者向け女袴の簡単着付け】
注意点とポイント
背縫いを中心に合わせる
着物の背中にある縫い目(背縫い)を、背骨に沿ってまっすぐに合わせます。
背縫いがまっすぐになると、自然と衿合わせも正しくなります。
鏡を使って後ろ姿を確認し、背縫いがずれていないかチェックしましょう。
衿元の綺麗な整え方
衿元が乱れていると、全体の印象が大きく損なわれます。
衿山をしっかり整え、シワを丁寧に伸ばします。特に、右側の衿が下に来るように重ねることが重要です。
シワができやすい部分は手で軽く引っ張って整えます。
肩のラインを整える
肩のラインがきちんと整っていると、全体のシルエットが美しく見えます。
肩の部分がずれていないか、衿元が開きすぎていないか確認しましょう。
肩がだらしなく見えると、全体の印象が崩れてしまいます。
ハカマエイトならプロの着付師におまかせ!
ハカマエイトでは、経験豊富な着付師が、お客様一人ひとりに合った美しい着付けを提供します。
卒業式当日の着付けは、単に袴を着るだけではなく、着心地や動きやすさなど細部にまでこだわった仕上がりをお約束します。
特に衿合わせや紐の締め具合には細心の注意を払い、着心地良くも着崩れしないきれいな着付けを実現します。
小学生から大学生・女性教員まで対応
ハカマエイトでは幅広い世代の方に袴レンタルや着付け、ヘアセットを利用していただけます。
身長が150cmに満たない小柄な小学生のお客様には、肩上げをして動きやすいように調整します。
これにより、お子様でも快適に卒業式袴を楽しむことができます。
また、卒業式当日の支度とともに、前撮り撮影や当日写真など、様々なプランをご用意しており、どのようなシチュエーションでも美しい袴姿を実現します。
*****
【あわせて読む】
【小学生の卒業式袴にブーツのメリットは?失敗しない小学生袴レンタル情報】
おすすめプラン
卒業式当日撮影プラン
卒業式当日撮影プランでは、袴レンタルから卒業式当日の着付け、ヘアセット、当日の写真撮影までトータルサポートいたします。
経験豊富なスタッフが、お客様一人ひとりに合わせたが袴スタイルを提案し、最高の卒業式を迎えるお手伝いをいたします。
前撮り撮影プラン
特におすすめなのが、前撮りもセットになった今だけお得な前撮り撮影プランです。
このプランでは、プロのカメラマンが最高の一瞬を捉え、美しい思い出を形に残します。
関西各地に撮影スタジオをご用意しているので、撮影場所やポーズなど、お客様のご希望に沿った撮影が可能です。
まとめ
卒業式の袴に合わせる着物には奥深い文化と伝統があります。
左前の文化的背景を理解することで、なぜこの着方が忌避されるのかが明確になります。
右前の着方が生活の中で自然に定着した一方で、左前は死者のための特別な着方として扱われてきました。
このように、着物の着方には深い文化的な意味が込められており、現代においてもその伝統を尊重することが大切です。
特に、卒業式などの晴れの日には、正しい着物の着方を守り、美しい姿を披露しましょう。