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卒業式で着る袴と着物の違いについてはご存知ですか?
着物というと「長着」と呼ばれる丈の長い形をイメージされますが、卒業式で着る袴や成人式で着る振袖も着物に含まれます。
ですが、袴レンタル店に行くと「お好きな着物と袴を選んでください」と案内されます。
もしくは「着物と袴はセットになっているので、お好きなセットを選んでください」と案内されることも。
「着物と袴は違うもの?」
「袴も振袖も着物ではないの?」
と、混乱される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、卒業式の袴レンタル前に知っておくと便利な「着物の定義」や「着物の種類」を詳しくご説明していきます。
着物と袴の基本的な違い
袴と着物の関係性について混乱されている方は、まずは「着物の定義」や「着物と袴の基本的な違い」を学びましょう。
その前に簡潔に述べると、「着物」とは和装全般のこと。
そして「袴」は、その中に含まれる種類のひとつを指します。
着物とは和装全般
先に述べた通り、着物とは和装全般の衣裳を指します。
着物は「着る物」と書きますよね。
日本に洋服が入ってくる前までは、衣服全てを着物と呼んでいました。
海外から洋服が入ってくると、洋服との区別化のために和装全般を着物と呼ぶようになったのです。
そのため卒業式で着る袴も、袴に合わせる二尺袖の着物も、成人式で着る振袖も、冠婚葬祭で着る留袖も全て着物と呼ばれます。
着物と呼ばれる大きなカテゴリーの中に、袴や振袖、留袖、訪問着、浴衣、羽織といった昔ながらの和服が含まれているとイメージしていただければ分かり易いのではないでしょうか?
袴とは
着物が和装全般を示す言葉のため、もちろん袴も着物という認識で間違いはありません。
それではなぜ、袴レンタル店では「着物と袴を選んでください」と案内されるのでしょうか?選ぶのは袴だけでは? と疑問が生じますよね。
その理由は袴の形状にあります。
次の画像をご覧ください。
袴姿は上下で衣類が分かれており、洋服でいうトップスが着物。
ボトムスが袴になります。
洋服でいうワンピースのような形状ではありません。
そのため、卒業式で袴姿になるためには、上の着物と下の袴を選ぶ必要があるのです。
後ほどご紹介する別項目「卒業式に振袖を合わせても良い?」でもご説明しますが、袴に合わせる着物は二尺袖の小振袖を合わせるのが一般的です。
ご紹介した上の画像も、小振袖の着物に袴を合わせたスタイルになります。
また、小振袖と比べると少数派ではありますが、成人式の時に購入した中振袖を合わせる方もいらっしゃいます。
教員の方が袴を着る場合は、小振袖はもちろん、訪問着や色無地の着物を袴に合わせることもあります。
袴の種類と特徴
洋服でいうボトムスに当たる袴には、「行灯袴(あんどんばかま)」「馬乗袴(うまのりばかま)」「襠有袴(まちありばかま)」の三つの種類があります。
穿かれるシーンや性別によって、選ぶべき袴が変わってくるので、しっかりチェックしてくださいね。
馬乗袴(うまのりばかま)の特徴
馬乗袴とは、洋服のズボンのように二股に分かれた形状の袴です。
男性が馬に乗るために、またぎやすいよう、このような形状になっています。
江戸時代に武士が乗馬用に着用していました。
現代では成人式や卒業式で男性が着用します。
また、弓道の時に着る袴は男女共に馬乗袴です。
行灯袴(あんどんばかま)の特徴
【このモデルが着用している卒業式袴を見る】
行灯袴とは、スカートのように筒状になった袴です。
卒業式に女性がレンタルする袴のほとんどが行灯袴になります。
明治時代に誕生した行灯袴は、袴としての動きやすさを保ちつつ、女性らしさのある衣服として女学生たちの制服にも採用された歴史があります。
明治維新後、女子教育が活発化してきましたが、授業を受ける際、着物に帯を合わせたスタイルでは袖や帯が汚れたり乱れたりすることがありました。
そのため、政府が女子学生に対しても男性用の馬乗袴の着用を認めましたが、世間の反発が強く早々に着用を控えるようにと通達を出し、馬乗袴を着た女子学生は姿を消しました。
そこで、女性用の行灯袴が誕生したのです。
華族女学校・学習院女子部(現在の学習院女子大学)の学監を務めていた下田歌子が宮中で着られていた袴に着目し、デザイン性と実用性に優れた女性用の袴を考案し制服として導入しました。
今日では女性用の袴として主流になっています。
襠有袴(まちありばかま)の特徴
馬乗袴のように二股に分かれている形状ですが、仕切りが浅く膝辺りで左右に分かれるため行灯袴に近い見た目になります。
卒業式で女性が襠有袴を着ることも可能です。
長袴(ながはかま)の特徴
平安時代、宮中の女官が十二単(じゅうにひとえ)の下に着用していた袴が長袴になります。
緋色で染められていたため、「緋袴(ひばかま)」とも呼ばれていました。
足先まで覆う長い形状のため、馬乗袴や行灯袴、襠有袴などどの袴とも大きく異なりますね。
女性達は裾を後ろに引き、袴を踏みながら歩いていました。
平安時代後も宮中では長袴の着用が続き、行灯袴を考案した下田歌子もこの長袴を参考にしたと言われています。
着物の種類と選び方
着物とは和装全般を指すとご説明いたしましたが、実際どれぐらい種類があるのでしょうか?
振袖や留袖、訪問着、浴衣など主要な着物の種類とその特徴を解説します。
また、着ていく場所によって、どの種類の着物を選ぶべきかについても合わせてアドバイスさせていただきます。
特に着物は種類によって着て行ける場所が決まっているので、ぜひじっくりご確認ください。
振袖
振袖は、小振袖、中振袖、大振袖と袖の長さ別に種類が更に分かれており、卒業式で着る振袖が小振袖、成人式で着る振袖が中振袖、結婚式で着る振袖が大振袖になります。
中振袖の着物は、未婚女性が着る第一正装でもあります。
そのため成人式以外にも結婚式の参列や、格式の高いシチュエーションで着用いただけます。
大振袖の着物は、結婚式で花嫁が着る着物です。
格式高い着物ではありますが、花嫁以外は着用できません。
何らかの式典やお見合いの場など正装を求められるシーンでも、大振袖ではなく中振袖を着用しましょう。
最後に、小振袖は卒業式で袴に合わせる着物になります。
袖の長さが二尺(約76cm)になっているので、二尺袖とも呼ばれます。
黒留袖
留袖には「色留袖(いろとめそで)」と「黒留袖(くろとめそで)」があります。
黒留袖(くろとめそで)は、既婚女性が着る第一正装の着物です。
結婚式では親族の方が着用します。
また、紋の数には「一つ紋」「三つ紋」「五つ紋」の3種類があり、数が増えるほどに格が高くなります。
そのため、「五つ紋」が一番格式高い着物なのです。
結婚式に親族として参加する場合は、「五つ紋」の留袖を着用しましょう。
色留袖
黒以外の色で地色を染めた留袖が色留袖(いろとめそで)です。
黒留袖は既婚女性が着る留袖ですが、色留袖は既婚女性も未婚女性も着用できます。
黒留袖同様に親族の結婚式に着ていくことが出来るので、振袖を着たくない未婚女性におすすめです。
訪問着
続いては訪問着についてご紹介します。
お茶席やお食事などフォーマルな場に着ていくことが出来る着物です。
既婚・未婚、どちらでも着用可能ですし、年齢の制限もありません。
淡い色合いで上品なデザインのため色留袖と似ていますが、訪問着と色留袖は絵柄の場所が違います。
着物の裾にしか絵柄が描かれていない色留袖に対して、訪問着は袖や肩、胸元など上半身にも絵柄が描かれています。
訪問着は、親族の結婚式に着る色留袖よりも一つ格下の着物にあたるため、知人や友人の結婚式に出席する場合は、訪問着を着用しましょう。
浴衣
現代の方に一番親しみ深い着物が浴衣ではないでしょうか?
夏祭りや花火大会で着用されることが多いですよね。
浴衣は寝間着や湯上り着として着用されてきた歴史から、今でも長襦袢を身に付けず、肌着の上から直接羽織ります。
足元も、足袋を履かずに素足で下駄を履くため、とても気軽に楽しめます。
気軽に楽しめる分カジュアル感が強いので、フォーマルな場には着ていくことは出来ません。
結婚式や会食の席はもちろん、美術館やレストランにも相応しい着物ではないので、お出かけの際は注意しましょう。
卒業式や成人式での着物と袴のコーディネート例
卒業式に着る着物といえば、着物に袴を合わせるスタイルが一般的です。
さらに近年は、成人式にも着物に袴を合わせて出席される方も多くなってきました。
着物に袴を合わせる着こなしは、成人式で着る振袖姿より一つ格下になりますが、準礼装であるため卒業式はもちろん成人式にも出席可能です。
レンタル料金も袴姿の方がお安くなりますし、振袖姿よりもかっこいい雰囲気にすることができます。
※かっこいいデザインの卒業式袴が気になる方は『【おしゃれ女子必見】卒業式用かっこいい袴紹介!モードな袴コーディネート集』をご覧ください。
それでは、卒業式や成人式でおすすめの着物と袴のコーディネートをご紹介いたしましょう。
おすすめのコーディネート①クラシカルな雰囲気
成人式に袴スタイルで出席される方や、卒業式で畏まった知的な雰囲気になりたい方はクラシカルな雰囲気にまとめることをおすすめいたします。
特に成人式に袴を着ていく方は、第一正装の振袖よりもカジュアルな印象になるため、クラシカルな雰囲気になる伝統的な古典デザインを選ぶのがポイントです。
【左上のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【右上のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【左下のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【右下のモデルが着用している卒業式袴を見る】
おすすめのコーディネート②レトロモダンな雰囲気
卒業式には、袴のカジュアル感を生かした個性的なデザインもおすすめです。
レトロモダンな色や柄を選ぶことで、袴にしかないカジュアル感を生かした着こなしが可能になります。
少し色褪せた配色や、着物全体に大きな絵柄がデザインされたものがレトロモダンデザインの特徴です。
【左上のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【右上のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【左下のモデルが着用している卒業式袴を見る】
【右下のモデルが着用している卒業式袴を見る】
卒業式に袴を着る理由
卒業式には着物に袴を合わせる着こなしが定番ですが、その理由についてはご存知ですか?
成人式には振袖姿ではなく袴姿を選ばれる方もいらっしゃいますし、逆に、卒業式に振袖姿で出席しても良いのでは?と思われるはず。
もちろん、卒業式に振袖姿で出席することは可能です。
未婚女性の第一正装である振袖姿は、卒業式にも相応しい装いと言えます。
それでも卒業式に袴姿を選ぶ理由は、袴が学業と密接に結び付いている歴史にあります。
袴の種類の項目で説明した通り、明治時代の女学校では制服として袴が採用されましたね。
これは、着物と帯のスタイルだと裾や袖が邪魔になり、汚れてしまうため。
また、教育を受ける場をとても大切にされてきたため、宮中で着用されてきた格式高い袴を学校の制服として取り入れたのです。
このような理由で女性教員や女子学生が袴を着用してきた歴史があるため、洋装の制服が広まった後も卒業式の衣裳として袴の着用が続いてきました。
卒業式に振袖を合わせても良い?
続いては、卒業式の袴と合わせられる着物についてお話します。
卒業式の袴には小振袖と呼ばれる二尺袖の着物を合わせるのが一般的ですが、合わせる着物に決まりはないため、成人式で着た中振袖に袴を合わせても構いません。
しかし大振袖と呼ばれる着物は、卒業式はもちろん成人式にも着てはいけません。
大振袖は結婚式で花嫁がお色直しで着用する着物ですので、袴に合わせる振袖は小振袖か中振袖になります。
小振袖と中振袖では袖の長さが違うため、袴を合わせた時の雰囲気や動きやすさに差が出てきます。
実際にどのぐらい袖の長さが違うかというと、およそ20cm。
小振袖:60~85cm
中振袖:95~100cm
見比べてみる全く雰囲気が違いますよね。
小振袖の着物に袴を合わせると、中振袖よりも袖が短いため、動きやすいというメリットがあります。
また、レトロ柄やポップ柄が映えるのも小振袖の着物でしょう。
中振袖の着物を袴と合わせる場合は、袖が長い分華やかな雰囲気になり、伝統的な古典柄もとても良く映えるでしょう。
しかし、袖を引っ掛けたり汚したりしないように小振袖の着物よりも注意が必要です。
卒業式当日に檀上へ上がる方や、小学生の方が卒業式に袴を着る場合は、動きやすさに重点を置き、中振袖ではなく小振袖の着物を袴に合わせるのがおすすめですよ。
小学生の方には以下の写真のようなポップで可愛い袴も人気です。
女性教員の方は、中振袖はNG!
袴と組み合わせる着物として小振袖や中振袖をご紹介いたしましたが、女性教員の方は、たとえ未婚の場合でも中振袖の着用は控えた方がよいでしょう。
小振袖よりも華やかな雰囲気になるため、卒業式の主役である学生よりも目立ってしまう心配があります。
また、振袖の場合は華やかなデザインが多いので、控えめな色・柄を選ぶべき女性教員の方にはあまりおすすめできません。
卒業生の担任を務める女性教員の方が袴を着るなら、以下画像のようなシンプルなデザインの着物を合わせるのがおすすめです。
淡色やグレー、白などシンプルな地色の着物を袴に合わせましょう。
ハカマエイトなら袴と着物のコーデが自由自在!
ここまでで、卒業式に袴を着るには着物と袴を用意する必要があることが分かりましたね。
多くの袴レンタル店では、着物と袴の組み合わせが固定になったセット商品をレンタルすることになります。
自分で選ぶ手間は省けますが、コーディネートにこだわりたい方は少し残念に思われるでしょう。
そこでおすすめなのが袴レンタル専門店のハカマエイトです!
ハカマエイトでは、なんと着物と袴の組み合わせを自由に選ぶことができるのです!
しかも、コーディネートに自信がない方も安心していただけるよう、ハカマエイトの各店舗にはベテランのスタッフが在籍しています。
お好きな色味・なりたい雰囲気を伺い、パーソナルカラーや骨格を見ながら、おすすめの着物と袴をご提案させていただきます。
もちろん、着物と袴のセット商品もご用意しております。
雑誌のようにオシャレなレンタル袴カタログもあるので、モデルたちが着用している着物や袴をそのままレンタルすることも可能!
コーディネートにこだわりたい方。
コーディネートにこだわりたいけど自信がない方。
モデル着用のコーディネートをそのままレンタルしたい方。
そんな方におすすめなのが卒業式袴レンタル専門店のハカマエイトです。
着物と袴の違い|まとめ
さて、今回は着物と袴の違いについて、着物の定義から詳細にご説明させていただきました。
着物とは、和装全般のこと。
袴や振袖、訪問着など各衣裳をまとめたカテゴリーのようなものだとご説明しました。
大きなカテゴリーの中に含まれている袴と、和装全般のカテゴリー名である着物は、全く別物でしたね。
袴にも種類がいくつかあり、卒業式で着用する女性用の袴は行灯袴と呼ばれるもの。
袴に合わせる着物は、二尺袖と呼ばれる小振袖の着物が一般的です。
自宅にある中振袖の着物を合わせても問題ありませんが、動きづらさを感じる場合もあるので、檀上に上がる方や小学生の方は二尺袖の着物がおすすめです。
教員の方は、中振袖ではなく小振袖や訪問着の着物を合わせましょう。
卒業式袴レンタル専門店のハカマエイトには、どの年代の方にもご提案できる幅広いデザインの小振袖がございます。
ぜひお近くの店舗にご試着にいらしてください。